AARRR(アー)モデルとは?

こんにちは。
高橋 聡です。

AARRR(アー)モデルって聞いたことはありますか?

最近は、グロースハックをする上でこのAARRR(アー)モデルを使うWEBディレクター、増えてるそうです。

AARRRを最初に提唱したのは米国の投資家Dave McClure氏。
シリコンバレーを拠点に世界50カ国1500社以上に出資する、世界で最もアクティブな投資ファンドの投資家です。
各段階の頭文字を取って「AARRR」と名付けられ、その発音が海賊の雄叫び「アー!」に似ていることから、「海賊指標(Pirate Metrics)」というユニークな別名でも知られています。

今回は、AARRR(アー)モデルについて学びたいと思います。

このAARRR(アー)モデルとは、5つのステップで戦略を立てることにより、効率的に事業を成長させられる事業戦略フレームワークです。
特にSaaS(Software as a Service)ビジネスやサブスクリプションモデル、モバイルアプリなど、継続的な顧客との関係性が重要なサービスにおいて、現状把握や課題発見、改善施策の優先順位付けに役立ちます。

5つのステップ
Acquisition:新規ユーザー獲得
Activation:利用開始
Retention:継続利用
Referral:紹介
Revenue:収益化

Acquisition:新規ユーザー獲得

目的: あなたの製品やサービスを、潜在顧客がどのようにして見つけ、最初の接点を持つか。
主な活動: SEO(検索エンジン最適化)、広告出稿(リスティング広告、SNS広告など)、コンテンツマーケティング、PR活動、口コミ、アプリストア最適化(ASO)など。
主要KPI(重要業績評価指標)の例: ウェブサイトへの訪問者数、広告のクリック率(CTR)、アプリのダウンロード数、新規ユーザー登録数、リード獲得数、チャネル別の獲得効率(CPA:顧客獲得単価)など。

「どんな方法でプロモーションするか?」を軸に考えてみましょう。
例えば、リスティング広告・自然流入を増やすためのSEO対策を実施する。などがあるかと思います。

Activation:利用開始

目的: 獲得したユーザーが、製品やサービスの価値を初めて体験し、「使ってよかった」「便利だ」と感じてもらうこと。最初の良い体験を提供することが重要です。
主な活動: オンボーディング(初期利用時のチュートリアルやガイド)、ユーザーインターフェース(UI)やユーザーエクスペリエンス(UX)の改善、主要機能の利用促進、無料トライアルの提供など。
主要KPIの例: 初回利用率、特定機能の利用率、アカウント設定完了率、チュートリアル完了率、無料トライアルからの有料プラン移行率(トライアルコンバージョン率)など。

「どのようにすれば、購入に至るか?」を軸に考えてみましょう。
例えば、タイトルをキャッチーなものに変更する・申し込みの入力項目を少なくする。などがあるかと思います。

Retention:継続利用

目的: 活性化したユーザーが、製品やサービスを継続的に利用し、習慣化してもらうこと。解約を防ぎ、長期的な顧客になってもらうことが目標です。
主な活動: 定期的な新機能の追加やアップデート、パーソナライズされたコンテンツの提供、メールマーケティング、プッシュ通知、カスタマーサポートの充実、ロイヤルティプログラムの実施など。
主要KPIの例: リピート率、継続利用率、アクティブユーザー数(DAU、WAU、MAU)、解約率(チャーンレート)、顧客維持期間など。

「どのようにすれば、リピーターになってもらえるか?」を軸に考えてみましょう。
例えば、特典を付与する・メルマガを配信する。などがあるかと思います。

Referral:紹介

目的: 満足度の高い既存顧客が、友人や同僚などに製品やサービスを自発的に紹介・推薦してくれる状態を作ること。口コミによる新規顧客獲得を目指します。
主な活動: 紹介プログラムの導入(紹介者・被紹介者へのインセンティブ提供)、SNSでの共有機能の設置、レビュー依頼、顧客満足度調査(NPS:ネット・プロモーター・スコア®など)の実施と改善活動。
主要KPIの例: 紹介数、SNSでのシェア数、口コミ数・評価、NPSスコア、バイラル係数(1人の顧客が平均何人の新規顧客を呼び込むか)など。

「どのようにすれば、拡散してもらえるか?」を軸に考えてみましょう。
例えば、twitterでつぶやいたら景品に応募できる。などあると思います。

Revenue:収益化

目的: これまでの段階を経て獲得・維持してきた顧客から、最終的に収益を上げること。ビジネスモデルに応じたマネタイズが重要です。
主な活動: 有料プランへのアップグレード促進、アップセル・クロスセルの提案、広告収益の最大化、料金体系の最適化など。
主要KPIの例: 売上高、顧客単価(ARPU:Average Revenue Per User)、顧客生涯価値(LTV:Lifetime Value)、有料会員転換率、利益率など。

「どのようにすれば、さらに収益が増えるか?」を軸に考えてみましょう。
例えば、オプションサービスを増やす。などあるとおもいます。

AARRRモデルを活用するメリット

課題の明確化: 顧客の行動フローを段階ごとに分解することで、ビジネス成長のボトルネックとなっている箇所を特定しやすくなります。例えば、「新規ユーザーは集まるが、すぐに離脱してしまう」場合はActivationやRetentionに課題がある可能性が高いと判断できます。

データに基づいた意思決定: 各段階でKPIを設定し、数値を計測することで、客観的なデータに基づいて改善施策を立案・実行できます。勘や経験だけに頼らない、効果的な意思決定が可能になります。

リソースの最適配分: 課題が明確になることで、限られたリソース(人、時間、予算)を最も効果的な施策に集中投下できます。

チーム間の共通言語: マーケティング、セールス、プロダクト開発など、異なる部門のメンバーが共通のフレームワークと指標を持つことで、目標達成に向けた連携がスムーズになります。
継続的な改善サイクルの確立: 「計測→分析→改善→再計測」というサイクルを回し続けることで、持続的なビジネス成長を目指せます。

AARRRモデルの活用ポイントと注意点

自社に合わせたKPI設定: モデルは汎用的ですが、KPIは自社のビジネスモデルや提供する価値に合わせて具体的に設定する必要があります。

ファネル全体の流れを意識する: 各段階は独立しているわけではなく、相互に関連しています。特定の段階だけを改善しても、全体の流れがスムーズでなければ効果は限定的です。

順番が絶対ではない場合もある: 一般的にはA→A→R→R→Rの順で顧客が進行しますが、ビジネスモデルや顧客の行動特性によっては、必ずしもこの順番通りに進まないこともあります。例えば、ReferralがRevenueの前に強く機能するケースも考えられます。

質的な側面も考慮する: KPIは定量的な指標が中心ですが、なぜそのような数値になっているのかを理解するためには、ユーザーインタビューやアンケートなどの質的な情報も重要です。

モデルは万能ではない: AARRRモデルは強力なフレームワークですが、市場環境の変化、競合の動向、ブランド構築など、ビジネス成長に関わる全ての側面を網羅しているわけではありません。他の分析手法や戦略と組み合わせて活用することが望ましいです。

AARRRモデルの活用事例

AARRRモデルは、多くの成長企業で活用されています。

Dropbox: 紹介プログラム(友人を招待すると双方にストレージ容量を追加)を効果的に活用し、Referralの段階で爆発的なユーザー獲得に成功しました。
Twitter(現X): 初期ユーザーがサービス価値を感じる「Aha!モーメント」(例えば、一定数のアカウントをフォローし、タイムラインが有益な情報で満たされる体験)を重視し、Activationの改善に注力したと言われています。
多くのSaaS企業: サブスクリプションモデルでは、特にRetention(顧客維持)がLTV(顧客生涯価値)向上の鍵となるため、解約率を下げ、継続利用を促すための施策にAARRRモデルの考え方を適用しています。無料トライアルから有料プランへの転換率(ActivationからRevenueへ)も重要な指標です。

まとめ

AARRRモデルは、製品やサービスを成長させるための羅針盤のようなものです。各段階の指標を正しく設定し、データに基づいて継続的な改善を行うことで、ビジネスをより高いレベルへと導くことができるでしょう。

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