これからの企業に求められる、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)とは?

みなさまこんにちは。
高橋 聡です。

本日はこれからの企業に求められる、ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC)について解説します。

GRCとは?

GRCとは、「ガバナンス・リスク・コンプライアンス(GRC:Governance, Risk, and Compliance)」の頭文字で、企業や組織の健全な経営を支えるための重要なフレームワークです。
以下で、それぞれの要素を詳しく解説します。

1. ガバナンス(Governance)

意味
企業が適切に意思決定し、組織を統制・運営する仕組みのことです。
つまり「どう経営を行うか」という“ルールと仕組み”です。

目的
・経営の透明性を高める
・不正や不適切な経営判断を防止する
・ステークホルダー(株主、社員、顧客など)の信頼を確保する

主な取り組み例
経営方針・倫理規範の明文化(コーポレートガバナンス・コード)
取締役会・監査役制度の整備
内部統制システムの構築
情報開示の透明性確保

2. リスク(Risk Management)

意味
企業活動における不確実性(リスク)を特定し、評価し、対応するプロセスです。

目的
・損失やトラブルを未然に防ぐ
・経営の安定性を確保する
・事業継続(BCP)を可能にする

主な取り組み例
リスクアセスメント(発生確率×影響度による評価)
リスクマトリクスの作成
対策(回避・軽減・移転・受容)の実施
事故・災害・情報漏えいなどの対応体制整備

3. コンプライアンス(Compliance)

意味
法令・社内規程・倫理の遵守を意味します。
単に「法を守る」だけでなく、社会的規範や企業倫理にも適合することを指します。

目的
・不祥事の防止
・社会的信頼の維持・向上
・持続的成長(サステナビリティ)の実現

主な取り組み例
法令順守教育(コンプライアンス研修)
内部通報制度(ホットライン)
贈収賄・ハラスメント防止ポリシーの策定
行動規範(Code of Conduct)の制定

GRCが一体となる理由

本来、ガバナンス・リスク・コンプライアンスは個別ではなく統合的に管理することが求められます。
これを「GRC統合管理」と呼びます。

統合的アプローチの重要性

これら3つは実は密接に関連しています。例えば、リスク管理体制が弱いとコンプライアンス違反につながり、それが企業統治の問題として露呈します。GRCでは、これらを別々に対応するのではなく、統合的に管理することで、企業全体の信頼性と持続可能性を高めます。

要素 相互関係
ガバナンス 経営方針やルールを定める(方向性の設定)
リスク 方針に基づき、リスクを把握・コントロールする(安定性の確保)
コンプライアンス 行動を法と倫理の範囲に保つ(信頼性の確保)

→ 三者が連携することで、「透明・安定・信頼」の経営体制が実現します。

実際の企業でのGRC事例

ガバナンス:取締役会の多様化、社外取締役の登用
リスク:情報セキュリティ管理(ISO 27001 取得など)
コンプライアンス:贈収賄防止ポリシー、サプライチェーン倫理管理

要素 意味 目的 キーワード
ガバナンス 経営の統制 経営の透明性 組織体制・方針
リスク 不確実性の管理 安定的経営 予防・対策
コンプライアンス 法・倫理の遵守 信頼確保 法令・モラル

GRCがなぜ重要か

特に金融機関では、規制当局の要求が厳しく、GRC体制が企業評価に直結します。また、グローバル企業では複数国の法規制に対応する必要があり、GRCの枠組みがあると効率的です。さらにデジタル化が進む中で、サイバーリスクなど新しいリスクも生じており、こうした多層的なリスク対応にはGRCの統合的思考が有効です。

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